店を閉め、仕事を休み始めてから
ビーガン、マクロビ、スポーツ栄養、そういった食の形態について時間が空くと調べています。
特殊な調理方法、各栄養素の体への関わり。
そもそもがオタク気質で好きな分野だから、学ぶだけならただ単に楽しい。
しかし店だろうと身内だろうと自分だろうと、材料用意して作って食べたり食べさせたり売ったりするという事は、人体形成プロジェクトに参加するということで、
ただ知識欲を満たして楽しむだけという訳にはいきません。
人は食事に何を求めているのか。
ごく単純。
食べて美味しく、元気で快適。
万人の理想。
私も私の家族も、食物アレルギーはありません。
だからきっとアレルギー体質の人の気持ちを真に理解はしてません。
糖尿でも癌でもありません。
そういった体質や病を持つ人達は、それをひたすらに恨みつつ生きているわけではもちろん無く、
その体、その病と共に生きていくというスタンス、
つまり日々自分の体の声に真摯に耳を傾けながら生き、食べているということだと思います。
そう考えると、アレルギーや病気を持つ人の方が、病気になったことのない人よりよほど食物との関わり方を大事にしていると思えます。
(現代の飽食ニッポンに於いて自分の体が必要としているものもわからない鈍感な体がどれ程多い事か!)
だからこそ、そういう人達にも平等に「食べる楽しさ」を存分に満喫して欲しいと願ってしまいます。
店を営業していた時、あるお客様に卵アレルギーのお嬢様のお誕生日に卵不使用のサブレ生地を土台にしたケーキを何度かお作りさせて頂いていました。
しかし話を伺うと、どうやらそのお嬢様は生地は口にせず上のクリームと果物だけを召し上がっているようでした。
あくまで想像ですが誕生日以外でも何度もお買い上げ頂いていた事を考えるとそれは恐らく私を信用していないというよりそういった焼いた生地に関わる過去の経験、記憶、イメージが関係していたのだと思います。
もしかしたらクッキー系のお菓子が美味しいものという認識が無いのかも知れません。
土台はいつもご両親が美味しく召し上がって下さっていると伺っていましたが、
例えばクリームだけを容器に流し込んだりして生地を使わないで作った方が本当はお嬢様は嬉しいのかなと悩みました。
でも元々サブレ生地ありきで作ったケーキ、お客様からのご要望がない限りは本来の完成度のままお渡しすることにしていました。いつかクリームと生地を一緒に食べてほしいな…との1ミリの期待を添えつつ。
前にも書きましたが、お菓子とは、美味しくなければならないという条件があると私は思っております。
毎日の食事は舌の快楽が目的ではありませんが、お菓子はそうだということです。
もちろん、美味しさには色々な種類があると思います。
一口食べて「こ、これは‼️‼️」的な、美味しんぼの一コマ的な、衝撃的な希少の美味しさ。
インパクトはないけど毎日食べても飽きない美味しさ。
一口目は?だけど、食べ進めていくと滋味深く止まらなくなる美味しさ。
母の味など、幼い頃慣れ親しんだ懐かしい記憶の味。
そんな色んな美味しさがあるとしても、例えば
「まあ、思ってたよりはイケるけど、やっぱ卵やバター使った方が美味しいよね」
「野菜のケーキねえ。面白かったけど、リピはないな」
などという感想、やっぱり作り手としては残念以外の何物でもない。
調理職の人間が他より長けていなければならない部分は、段取りの良さや手早さや手先の器用さ(もちろんこれらはとても大事な要素なのですがー)以上に、これが美味しいか美味しくないかの判別、具体的にどこをどうしたらもっと美味しくなるか、その方法を知っていることだと思います。
なんらかの理由で食習慣を変えた人、変えざるを得なくなった人、そんな人たちが、
美味しさを期待するルックスのケーキを作り、
そしてその期待に応えられる、もしくはいい意味で裏切る、
(つまり「想像と違ったけどこれはこれでめっちゃ美味しい」と言ってもらえること)
そして私自身がOK出せるケーキを作ること、それが今の私の課題です。
それが出来るようになったらまた作る仕事を自分で始めたいなと
夢を描いております。
でもなかなか試作の時間があみ出せない💦
まだまだ段取り上手の上級主婦には程遠く…
修行が足りない私です。
#
by kondouyoogashi
| 2017-02-19 18:14